オブジェクト・ストレージは、大規模なファイル・システムで発生するような性能の低下を招くことなく、膨大な容量まで拡張できます。フラットなアドレス空間と豊富なメタデータのサポートにより、オブジェクト・ストレージはデータ・レイク、バックアップ先、コンテンツ・リポジトリに最適です。
ファイル・ストレージは、多くのアプリケーションが必要とする、馴染みのある階層構造やファイル・システムの機能を提供します。アプリケーションが従来のファイル操作(オープン、読み取り、書き込み、クローズ)を通じてデータにアクセスすることを想定している場合、ファイル・ストレージはコードを変更することなく互換性を提供します。
エンタープライズ・ワークロードにおけるファイル・ストレージのメリット
ファイル・ストレージには、特定のユースケースに次のようなメリットをもたらします。
シンプルさと使い慣れた操作性
階層的なファイル/フォルダ構造は、広く理解されています。ユーザーは、専門的なトレーニングや技術的な専門知識を必要とせずに、ファイル・ストレージを整理して操作できます。このシンプルさにより、新しいストレージ・システムを導入する際や、チームメンバーを新たに迎え入れる際の学習負担が軽減されます。
ファイル・ストレージは、既存のアプリケーションやワークフローとシームレスに統合できます。ほとんどのソフトウェア・アプリケーションは、ファイル・システムと連携し、標準的なオペレーティング・システムのインターフェースを介してファイルを読み書きするように設計されています。ファイル・ストレージへの移行に際して、アプリケーションの変更が必要になることはほとんどありません。
コラボレーションと共有
ファイル・ストレージ・システムは、複数のユーザーやアプリケーションからの同時アクセスをサポートします。標準的なファイル・ロック機構は、複数のユーザーが同じファイルを変更しようとする際の競合を防止し、コラボレーション環境におけるデータの完全性を確保します。
ネットワーク・ファイル・ストレージにより、リソースを効率的に共有できます。共有ワークスペースを適切なフォルダ構造で整理できるため、チームメンバーが関連ファイルを簡単に見つけることができます。アクセスを制御し、不正な変更を防ぐために、フォルダまたはファイル単位で権限を設定できます。
データ保護とセキュリティ
ファイル・ストレージのセキュリティは、確立された技術やプロトコルによって支えられています。管理者は、ユーザー、グループ、組織構造に基づいて、きめ細かいアクセス制御を実施できます。権限設定により、ユーザーがファイルやフォルダの読み取り、書き込み、変更、削除を行えるかどうかを指定できます。
ファイルロック機能により、データの破損や競合を引き起こすおそれのある同時編集を防止します。ユーザーが編集のためにファイルを開くと、ファイル・システムはそのファイルをロックし、最初のユーザーがファイルを保存して閉じるまで、他のユーザーによる変更を防止します。
バックアップおよびディザスタ・リカバリのソリューションは、ファイル・ストレージとシームレスに連携します。標準的なバックアップ・ソフトウェアは、ファイル・システムを効率的にバックアップし、バックアップ・サイクル間の変更を追跡することで、バックアップ・ウィンドウとストレージの要件を最小限に抑えることができます。
標準化されたプロトコル
ファイル・ストレージは、プラットフォーム間の互換性を確保する、確立されたプロトコルに基づいて動作します。SMB/CIFS は、Windows システムがファイル・ストレージにアクセスすることを可能にし、NFS は Unix/Linux との互換性を提供し、最新の実装では複数のプロトコルを同時にサポートします。
このプロトコルの標準化により、複雑な統合作業を必要とせずに、多様なクライアント環境に対応するファイル・ストレージを導入できます。単一のファイル・ストレージ・システムで、Windows ワークステーション、Linux サーバー、macOS ラップトップを、それぞれのネイティブ・プロトコルを使用して同時にサポートできます。
ファイル・ストレージの課題と限界
ファイル・ストレージにも限界があり、導入規模が拡大するにつれて顕著になります。
スケーラビリティの制約
ファイル・システムが数千のディレクトリにまたがり、ファイル数が数百万に達すると、性能が低下するおそれがあります。階層構造では、ファイルを見つけるためにディレクトリ・ツリーを辿る必要があり、このオーバーヘッドは階層の深さや複雑さが増すにつれて増大します。
従来のファイル・システムには、ディレクトリあたりのファイル数と、効率的に管理できるファイルの総数に実用上の限界があります。モダンなファイル・システムは、従来のファイル・システムよりも大容量に対応します。しかし、数十億のファイル規模への拡張は依然として課題となっています。
大規模環境における性能
ファイル・システムのメタデータ管理は、大規模な導入環境ではボトルネックとなります。ファイル・システムは、全てのファイルとディレクトリに関する情報を保持し、ファイル操作のためにこのメタデータにアクセスする必要があります。メタデータの量が増加するにつれて、検索に要する時間も長くなります。
パスのトラバーサルは、ファイル・アクセスに遅延をもたらします。深くネストしたファイルを取得するには、パス内の各ディレクトリを解決し、アクセス権限を確認し、リンクをたどる必要があります。このオーバーヘッドは、小規模なファイル・システムでは無視できる程度です。しかし、大規模なファイル・システムでは顕著になります。
メタデータの制限
ファイル・ストレージは、オブジェクト・ストレージと比較して、提供できるメタデータが制限されています。標準的なファイル・システムのメタデータには、名前、サイズ、日付、アクセス権限などの基本的な属性が含まれます。分類、検索、管理のために豊富なメタデータを必要とするアプリケーションでは、ファイル・ストレージのメタデータが不十分である可能性があります。
大規模なファイル・システム全体での検索は、処理に時間がかかり、リソースが大量に消費される場合があります。インデックス化されたメタデータや効率的な検索機能がなければ、コンテンツや属性に基づいて特定のファイルを見つけるには、ディレクトリ構造をスキャンし、個々のファイルを調べる必要があります。
管理の複雑さ
大規模なファイル・ストレージ環境では、非効率性を防ぐために慎重な管理が必要です。ガバナンスが欠如していると、ファイルの冗長コピーを作成したり、間違った場所にファイルを保存したり、古いデータを蓄積したりすることがあります。これにより、容量の無駄が生じ、最新の情報を探し出すことが困難になります。
ファイル・システムが拡大するにつれて、容量計画はより複雑になります。ストレージの消費パターンを理解し、成長を予測し、容量配分を最適化するには、継続的な監視と分析が必要です。
ファイル・ストレージのユースケースと活用例
ファイル・ストレージは、その特性が活用要件に合致する特定のワークロード・タイプに適しています。
- 共有ワークスペースとコラボレーション:チーム・フォルダ、プロジェクト・ファイル、共有ドキュメントに使用されます。使い慣れたフォルダ構造とアクセス権限により、コラボレーションをシンプルで管理しやすいものにします。
- ホーム・ディレクトリと個人用ストレージ:複数のデバイスから利用可能な個人用ストレージを提供し、ローミング・プロファイルとファイルへの一貫したアクセスをサポートします。
- コンテンツ・リポジトリとデジタル資産:動画、画像、デザイン・ファイルなどの大規模なメディア・ライブラリの管理に最適です。クリエイティブツールやコンテンツ管理ツールと容易に統合できます。
- アプリケーション・データ・ストレージ:ファイルロック、アクセス権限、ログ、バックアップ、構成ファイルなどのファイル・システム機能に依存するアプリケーションをサポートします。
- アーカイブ・ストレージ:記録や完了したプロジェクトの長期保管に使用され、特にフォルダベースでの閲覧やファイル・システムへのアクセスが必要とされる場合に最適です。
ファイル・ストレージ管理のベスト・プラクティス
効果的なファイル・ストレージ管理により、性能、効率性、価値を最大化します。
データ・ガバナンスの実装
フォルダ構造、命名規則、ファイル編成に関する明確なポリシーを確立します。構造を標準化することで、ユーザーは情報を容易に見つけられ、管理者はストレージを管理しやすくなります。
データ・ライフサイクル・ポリシーを定義し、保存期間、アクセス・パターン、その他の条件に基づいてファイルを自動的に移動または削除します。アクセス頻度の低いデータを低コストの階層にアーカイブすることで、過去の情報へのアクセスを維持すると同時に、アクティブなワークロードのための容量を確保します。
容量使用率の最適化
ストレージの使用状況を定期的に監視し、傾向を把握して、容量が不足する前に追加を計画します。ユーザーまたはフォルダレベルでクォータを設定し、個々のユーザーまたはプロジェクトが不均衡な容量の消費を防ぎます。
重複したファイルを特定して削除し、無駄なスペースを再利用します。重複排除技術は、ストレージ・レベルで冗長データを排除できるため、ユーザー・エクスペリエンスに影響を及ぼすことなく容量要件を削減します。
性能の維持
複数のファイル・サーバーやストレージ・ノード間で負荷のバランスを調整し、ホットスポットの発生を防止します。アクセス頻度の高いフォルダを異なるシステムに分散させることで、単一のストレージ・デバイスがボトルネックになることを防ぎます。
頻繁にアクセスするデータを、より高速なストレージ層にキャッシュすることを検討してください。階層型ストレージ・アーキテクチャは、ホットデータを高性能フラッシュに自動的に配置し、コールドデータを容量最適化ストレージに移行します。
データ保護の確保
ハードウェアの障害、ユーザーエラー、セキュリティ・インシデントからデータ損失を防ぐ定期的なバックアップ・スケジュールを実装します。バックアップを定期的に検証し、復元可能性を確保します。
スナップショット技術を使用して、ファイル・システムの特定時点のコピーを作成します。スナップショットを利用すれば、従来のバックアップリストアに頼ることなく、偶発的な削除や変更からデータを迅速に復旧できます。
ランサムウェアや誤削除からの保護を必要とする重要なデータには、不変ストレージの導入を検討してください。不変の保持ポリシーは、管理者を含む全ての人が、データの保持期間中にファイルを変更または削除することを防ぎます。
セキュアなアクセス
権限を割り当てる際には、最小権限の原則を適用します。ユーザーには、その役割に必要なファイルやフォルダへのアクセスのみを許可し、不正アクセスや誤った変更のリスクを低減します。
権限を定期的に監査し、不要なアクセスを特定して削除します。従業員の役割が変わるとアクセス要件も変化します。しかし、積極的に管理を行わないと、時間の経過とともに古い権限が蓄積されてしまいます。
守秘性の高いデータについては、ストレージ・デバイス上に保存されている状態でも、ネットワーク経由で転送中の状態でも、暗号化を有効にしてください。暗号化により、ストレージ・デバイスが盗難に遭ったり、ネットワークトラフィックが傍受されたりした場合でも、不正アクセスからデータを保護できます。
モダンなファイル・ストレージ:従来の制限への対応
- スケールアウト型ファイル・ストレージ:複数のノードにデータとメタデータを分散させ、単一の統合ファイル・システムを維持すると同時に、容量と性能を拡張できます。
- オールフラッシュ・ファイル・ストレージ:フラッシュ・メディアを使用して、高スループットと低レイテンシーを実現し、性能重視のワークロードの I/O ボトルネックを解消します。
- クラウドネイティブなファイル・ストレージ:運用オーバーヘッドを削減し、固定容量の計画策定を不要にするマネージド・サービスにより、柔軟なオンデマンドのスケーリングを提供します。
- インテリジェントなデータ管理:AI と自動化により、容量の最適化、セキュリティの可視性の向上、利用パターンに基づいたティア間のデータ移動を実現します。
- 統合ファイル/オブジェクト・ストレージ:同一データへのファイルとオブジェクトの両方のアクセスをサポートし、データの重複なしで、従来のアプリケーションとクラウドネイティブなアプリケーションの両方で柔軟性を発揮します。
Everpure FlashBlade:次世代のファイル・ストレージ
Everpure FlashBlade//S は、従来の制限を解決するために設計されたモダンなファイル・ストレージを提供し、ファイル・ストレージの価値を高めるシンプルさと互換性を維持します。
無制限の拡張を実現するスケールアウト型アーキテクチャ
FlashBlade は、ブレードを無停止で追加することで容量と性能を向上させるスケールアウト型アーキテクチャを採用しています。現在のニーズを満たす構成から始めて、要件の増大に応じて、運用の中断やデータの移行を必要とせずにシームレスに拡張できます。
コントローラがボトルネックとなる従来の NAS システムとは異なり、FlashBlade は、システム内の全てのブレードにファイル・システムの操作を分散させます。これにより、規模にかかわらず一貫性のある性能を確保し、従来のファイル・システムで規模の拡大に伴い発生する性能の低下を回避します。
オールフラッシュの性能
FlashBlade は、DirectFlash 技術を採用したオールフラッシュ・アーキテクチャにより、一貫した低レイテンシーの性能を実現します。この性能により、ファイル・ストレージは、大規模な分析、AI モデルのトレーニング・データ、高スループットのメディア制作など、従来は専用のソリューションを必要としていた要求の厳しいワークロードにも対応できます。
ファイルとオブジェクトの統合
FlashBlade は、ファイル・プロトコル(NFS、SMB)とオブジェクト・プロトコル(S3)の両方をネイティブにサポートします。同一のデータに異なるプロトコルを介してアクセスできるため、個別のストレージ・システムを維持せずに、多様な要件に対応できます。
この統合アプローチにより、インフラが簡素化され、管理の負担が軽減され、データのサイロ化が解消されます。アプリケーションは、同じ基盤データを扱う一方で、要件に最適なアクセス方法を選択できます。
エンタープライズ・データ・サービス
FlashBlade には、保存されたデータを保護・最適化する包括的なデータサービスが含まれてます。
- スナップショット:特定時点のコピーにより、システムの性能に影響を及ぼすことなく、誤った削除や変更から迅速に復旧できます。効率的なメタデータ管理により、スナップショットが消費する容量は最小限に抑えられます。
- レプリケーション:組み込みのレプリケーション機能により、リモートの FlashBlade システム上でファイル・システムの同期コピーを維持することで、ディザスタ・リカバリを実現します。
- 暗号化:性能の低下を招くことなく、保存中のデータを暗号化し、守秘性の高い情報を不正アクセスから保護します。
- Evergreen アーキテクチャ:FlashBlade システムは、フォークリフト・アップグレードやデータ移行を必要とせずに常に最新の機能を維持します。
シンプルな管理
Pure1 は FlashBlade 導入環境向けのクラウドベースの管理機能を提供し、単一のインターフェースから全てのシステムの性能、容量、健全性を可視化します。AI 駆動の分析機能により、最適化のための推奨事項が提示され、運用に影響が出る前に潜在的な問題を予測します。